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Archive for 7月, 2009

ヴィンテージ管の光と陰(その1)

金曜日, 7月 10th, 2009

ヴィンテージ管とは

真空管は、製造時期によって、現行管とヴィンテージ管とに分類されます。現行管は、現在進行形で製造されている真空管で、中国、ロシア、スロバキア等で製造されています。現行品の代表的なブランドは、中国の曙光電子、ロシアのSovtek、Scetlana、Electro Harmonics、TUNG-SOL(ヴィンテージ復刻品)、GOLD LION(同復刻品)、Mullard(同復刻品)、スロバキアのJJ等です。

真空管は、電子工学の花形の座を半導体に譲ってから40年以上経過しておりますので、電子産業からのニーズは皆無に等しい状況にあります。だだし、電子産業のパイからすれば、ごくごく僅かなニーズは、ギターアンプ、オーディオアンプ等の真空管アンプや、放送局の送信管等です。現行管のほとんどは、ギターアンプ向けに製造され、その一部がオーディオアンプに流れるという構図となっております。

従って、現行管のブランドおよび規格は、種類が少なく、限定的となっております。

一方、ヴィンテージ管は、製造中止となった真空管であって、およそ1910年から1980年にかけて製造された真空管を指します。ヴィンテージ管は、真空管の黎明期、発展期、全盛期、衰退期を通じて、多数の国のブランド、メーカーにより製造されており、種類は、現行管の比ではありません。ヴィンテージ管の規格を解説したデータブックは、分厚い辞典にも匹敵する情報量です。

ヴィンテージ管の製造国は、米国、英国、ドイツ、フランス、オランダ、ソ連、そして、わが国、日本、etcで、電子工学の先進国では国を挙げて製造されておりました。代表的なブランドを挙げてみましょう。

  • 米国→RCA、GE、SYLVANIA、RAYTHEON、etc.
  • 英国→Mullard、Brimer、GOLD LION(GEC)etc.
  • ドイツ→Telefunken、Siemens、Valvo、RFT
  • オランダ→Amperex、etc.
  • 日本→東芝、松下、日本電気、etc.

ヴィンテージ管といっても、銘球、駄球、珍球が玉石混合しております。ギター界およびオーディオ界においても、いくつかの銘球が誕生し、今に伝えられているものもあります。私が良く使う表現で、銘球に限って言えば、「現行管とヴィンテージ管とのサウンドは、インスタントコーヒーとレギュラーコーヒーくらいの差があります。」。

それほど、ヴィンテージ管のサウンドは、魅力的で、しかも伝説化している部分も多く、私のような真空管を業としている者にとっても、非常に興味深いカテゴリーです。今回は、ヴィンテージ管について、深く掘り下げてゆきます。

以上

2009.7.10                                         

Good music !

 

超かんたん バイアス調整入門(最終回)

日曜日, 7月 5th, 2009

バイアス調整のまとめ

最後に、バイアス調整のポイントについてまとめてみます。

バイアス方式 適用管 バイアス調整
自己バイアス方式
(セルフバイアス方式、オートバイアス方式、カソードバイアス方式ともいう)
プリ管
パワー管
不要
固定バイアス方式(電圧可変型) パワー管 必要
固定バイアス方式(電圧固定型) パワー管 不可

ここまでくれば、バイアス調整については、正確な知識を会得されたと思いますので、本コラムで最初にご紹介した質問をもう一度確認します。

  • 「ギターアンプの真空管を交換したいが、バイアス調整が必要ですか。」
  • →バイアス方式が固定バイアス方式(電圧可変型)であれば、必要です。自己バイアス方式であれば不要です。なお、固定バイアス方式(電圧固定型)である場合には、バイアス調整ができませんので、当該バイアス電圧に対応するようにセレクトされたパワー管を使うか、ヴィンテージサウンド®の逆バイアス調整を利用してください。
  • 「特性が揃ったマッチドの真空管を購入すれば、バイアス調整がいらないと言われたのですか。」
  • →誤りです。固定バイアス方式(電圧可変型)の場合には、特性が揃ったマッチド管を使っただけでは、バイアス調整をしたことにはなりません。あくまで、マッチド管の用意は、バイアス調整前の準備にすぎません。従って、マッチド管を交換した後に、改めてバイアス調整が必要となります。
  • 「バイアス調整をしないとアンプが壊れますか。」
  • →壊れる場合もあります。固定バイアス方式(電圧可変型)の場合には、適正にバイアス調整しないと、過電流が流れて各部が焼損する場合もあります。なお、自己バイアス方式の場合には、バイアス調整が不要で、検査済みのパワー管を使用していれば、正常に動作します。また、固定バイアス方式(電圧固定型)の場合には、当該バイアス電圧に適合しないパワー管を使うと、過電流が流れて各部が焼損する場合もあります。
  • 「同じ規格・ブランドの真空管に交換すれば、バイアス調整は不要ですか。」
  • →固定バイアス方式(電圧可変型)の場合には、誤りで、バイアス調整が必要となります。なお、自己バイアス方式の場合には、バイアス調整は不要です。また、固定バイアス方式(電圧固定型)の場合には、バイアス調整ができないため「同じ規格・ブランド」という条件よりも、「同様の電気的特性」という条件が重要で、この条件に該当するパワー管に交換する必要があります。
  • 「バイアス調整は自分でできますか。」
  • →ある程度の技術スキルがあれば、バイアス調整自体は難しくないため、できると思います。但し、感電等の危険があるため、あくまで、自己責任にて行ってください。
  • 「自分のアンプはバイアス調整不要と言われたのですが。」
  • →バイアス方式が自己バイアス方式であれば、不要です。なお、固定バイアス方式(電圧可変型)の場合には、バイアス方式は必要です。また、固定バイアス方式(電圧固定型)の場合には、バイアス調整ができないため、当該バイアス電圧に対応するパワー管を使用してください。
  • 「純正管を使えばバイアス調整が不要と楽器店に言われました。」
  • →半分正解で、半分不正解です。メサブギーのように、固定バイアス方式(電圧固定型)の場合には、正解です。但し、純正管以外は使用できないかの誤解があるようですが、ヴィンテージサウンド®の逆バイアス調整をご利用いただければ、音色が異なる他ブランドのパワー管にも交換できます。なお、自己バイアス方式および固定バイアス方式(電圧可変型)の場合には、純正管である必要性は全くありませんので、自由にお好みのブランドのパワー管を使用することができます。

以上

2009.7.5                                         

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